78: 氷上の名無しさん 2016/09/21(水) 20:01:05.25
とにかく町田樹が好きだ
今回の文章は長くなります。とにかく町田樹が好きなのだ。2014年末の全日本選手権で引退を発表してから2年が経とうとしているが、技術よりも精神で競技に挑んでいった彼のことを頻繁に思い出す。その理知的な発言の数々を受けて「氷上の哲学者」と呼ぶのは結構だが、それを面白がる向きが最後まで抜けきらなかったのはなかなか残念だった。現役引退後の2015年4月、プリンスアイスショーに久々に登場した町田は、マスコミが要望した取材を一切受けずに、文書でコメントを発表した。そこには「作品のコンセプト等に関しましては、私のオフィシャルウェブサイトにて情報を公開しております」とあり、奥へ奥へと進ませるロールプレイングゲーム的構造にうっとりした。スポーツ番組や新聞が欲する「良さげなコメント」を適宜撒くのではなく、自分の想いを綴った長文へ誘い込むのが町田樹である。
そこに記された、シューベルトの楽曲を用いた『継ぐ者』への想いはこうだ。「人間は誰もが何らかの『継承者』と言え、その人生を全うする過程で、『受け継ぐ者』と『受け渡す者』の両者を経験することになるはずです。人から人へと連なる、過去へも未来へも永遠と続く、その連綿たる連鎖の中に存在すること」、これが久々に人前で滑るにあたっての態度表明である。「引退されて、その後どうですか?」的なざっくり質問をかわすために、こういう長大なコメントを用意する。自らを「連綿たる連鎖の中に存在する」と定義付けるスポーツ選手を他に知らない。
ジョン・スタインベックに大きな敬意
2013年グランプリシリーズの事前記者会見で、各々の出場選手がパネルに書いた目標を発表するなか(例:浅田真央「ソチへ前進」)、町田樹は「Timshel…汝、治むることを能う。自分の運命は自分で切り拓く!」と書いた。その日の司会は松岡修造。困惑する松岡と飄々と語る町田の構図は会場の笑いを誘ったが、笑いで済ますべきではない。分からない事を差し出された時に笑って対応するって、「気合い」の力学のみで乗り越えようとする人が使う作法で、好きじゃない。そのグランプリシリーズの初日、ショートプログラムで1位になると、町田は「まずは僕のショートプログラムのプロットにもなった、『エデンの東』の作家であり、アメリカ文学を代表するジョン・スタインベックに大きな敬意を」と語った。4分冊されているハヤカワ文庫の「第3巻24章2節」が自身の演技の心臓部であり、ここに「ティムシェル」という言葉が出てくる。好成績に終わった日、観衆やコーチよりも、真っ先にスタインベックに謝辞を述べるのが町田だ。
町田を評するのに、ジャンプやスピンの精度などの技術面を語るのではなく、まずは精神面から見定めるべしというのは、見るべき人には分かっている。鈴木明子は『プロのフィギュア観戦術』(PHP新書)の中で、町田の事を「自分の個性を確立して、作品としてプログラムを作る芸術家」と評しているし、八木沼純子は『アイスモデリスト』(文春文庫)の中で、彼の演技を「内側にあるものを一斉に集合させて表面に出した感覚」と評している。八木沼は、アイスショーで町田の後に滑ったエピソードを明かし、それは「なかなか気が引ける」経験だったとする。なにせ、その日、照明チームが町田の演技に見とれてしまい、明かりを間違えるほどだったのだから。
ソース(全文)
https://cakes.mu/posts/14048
この記事が流れた
良い記事やね
ほへえ
知らない人だけどなかなか面白かった
読んできた
面白いw
>>78
ほへー
でも笑っとる奴らみんながみんな馬鹿にしとるわけやないと思うんやけど
面白かった
なるほどなあ
読んできた
さすが筋金入りの町田オタ、気合い入って長いが読みやすい
町田オタが喜ぶはずだ
すごく良かった
面白くて的確でいい記事だわ
めっちゃ長いよねww
荻上チキとちょっと被るけどw
ていうか武田さんてインテリ男子のサブカル評論家のイメージだったから
フィギュアに興味あること自体に驚き(´・ω・`)
おいらなんか、この記事で初めて知ったライターさんだったから、フィギュアに興味ある人だから勝手に女性だと思って、男性なんだと今知ったよ…
ええっ、男性なの!?
だってあんなに熱く樹愛を語ってらして
男性ならそれはそれでまた嬉しいな、老若男女に愛されるタツキマチダ
numberの松原さんとか
大西先生「本当に町田しか見えなかった」「もう恋人と一緒」
ミルズ先生「樹は私のミューズ」
松岡修造氏「樹さんが好きです」
みんな直球だね
潔い
男性にも人気なんだな、改めて
まっちーの魅力は多面的だからね
競技会で海外や遠征先でも野太い声の応援があって 同性のファンが付いてくれているのは長期的にファンが増えるという説があったから今の現状に大いに納得だな
引退して2年になるのに、魂のこもったコラムを書く人がいて、トレンド入りするぐらいなんだから