究極のハイレベルな争いとなった女子フィギュアのフリースケーティングは、ショートプログラム(SP)首位だったアリーナ・ザギトワ(15、OAR)が、156.65点、“女王”エフゲニア・メドベージェワ(18、OAR)も同じく156.65点の同スコアに終わり、SPで首位に立っていたザギトワが、そのリード分、わずか1.31点差で金メダルを獲得した。だが、その両者の採点を巡って海外では早くも議論が巻き起こっている。
パーフェクトな演技に見えたメドベージェワが逆転できなかったことに疑問を投げかけたのは、ソチ五輪アメリカ代表のアシュリー・ワグナー(26)だ。ザギトワの金メダル決定後に3本続けてSNSにツイートした。
I will add this though. pic.twitter.com/T50TGSTRZZ
— Ashley Wagner (@AshWagner2010) 2018年2月23日
「うーん。あの(競技の)後で言えるのはこれだけ」とつぶやき、続いて驚きと困惑が混じったような表情の動画をアップした。さらに、「最後に楽しませてくれた今夜のトップ3選手へ」と感動しながら拍手をする動画で締めくくったが、何やら意味深なツイートだ。
And I'll wrap it up with this for our top three ladies of the night who KILLED IT! pic.twitter.com/6hZ0CzSLmm
— Ashley Wagner (@AshWagner2010) 2018年2月23日
ワグナーは、欧州選手権でザギトワがメドベージェワを破って優勝した際にも、技術基礎点が1.1倍となる後半に7つのジャンプをすべて詰め込む“得点重視”の芸術性を無視したともいえるザギトワの戦略的なプログラムを批判していた。
「技術的には完璧で、その競争心には敬意を表します。でもこれはない。プログラムではない。彼女の前半は空っぽで、後半がカオスになった。これは演技ではない。採点の仕組みがそうさせていて、彼女のことを責め
ることはできないが、私は楽しめなかった。これはフィギュアスケートではないと思う」
それだけに「アンナ・カレーニナ」の世界をまるで劇場作品のごとく美しく華麗に演じきったメドベージェワが逆転できなかったことに疑念を投げかけたのだろう。
英国のBBCも「最後に滑ったメドベージェワは、ザギトワに十分に追い付いたように見えたが、審判たちは、2人に同じ得点を付けた」とザギトワの金メダルを批判的に報じた。
「わずかに有利な状況でフリースケートに入ったザギトワは、力強い演技を見せたが、3回転ルッツの着氷で小さなミスが出た。メドベージェワは素晴らしい演技で、すぐに続き、審判の得点結果が発表された後、観客の一部からはブーイングが起きた」とも伝えた。
BBCは、1980年冬季五輪レークプラシッド大会で男子フィギュアで金メダルを獲得したロビン・カズンズ氏(イギリス)の演技分析も掲載した。
「ザギトワは乗っていたが、自分の心には響かなかった。メドベージェワは、我々にすべてを届けてくれた。その通り彼女のジャンプは小さかったが、それらは綺麗だった。彼女の演技は見事だった。彼女はショックを受け、我々のほとんどもそうだったと思う」と、ザギトワの金メダルに問題提起を行った。
演技構成点では、メドベージェワは「音楽の解釈」の部門で5人が10点満点をつける9.89点の高得点を稼ぐなどして77.47点をマークしたが、ザギトワも75.03点と大健闘。本来、ザギトワを上回っているはずの芸術性、表現性の部分で、それほど大きなリードを奪うことができなかった。
ザギトワの金メダルに批判的な意見のほとんどは、この差がもっとあっても良かったのではないか?という見解だ。ザギトワは、後半最初に3回転ルッツ+3回転ループの連続ジャンプが、単発に終わるミスを犯した。
その後に3回転ルッツ+3回転ループジャンプを跳び直して見事にカバーしたが、作品全体としての評価とすれば、このミスは、演技構成点にもっと影響を与えても良かったのではないか、という見方だ。しかも、この単発に終わった3回転ルッツにも、0.50のGOE(出来栄え点)加点がついていた。
一方、ザギトワの金メダルを支持する声も圧倒的だ。
今回、羽生結弦が五輪連覇を果たしたが、66年前に連覇を果たし、現在はフィギュア評論家でもあるディック・バトン氏は、ツイッターで「メドベージェワについて、自分の意見としては彼女の演技は他の人が思うほど満足できる演技には見えなかった」という見解を示した。
「(ザギトワの金メダルは)正しい判断だった。メドベージェワはエレガントではなかった。技術的に強かったが、パフォーマンスは弱かった。ザギトワは氷上のバレリーナだ。リュドミラやプロトポポフと同じようなクオリティーだった」と、ザギトワの金メダルを支持した。
アメリカのタイム誌は、「2017年の世界ジュニアチャンピオンで15歳のザギトワの肝をつぶすような高得点は、どのようにして出たのか? 彼女はボーナス得点が得られる後半の演技にジャンプなど高い得点価値のある動きを残していた。ロシアの体操選手にあやかって名付けられたバレリーナのようなザギトワは、この戦略を見事に成功させた」と、後半に7つのジャンプを集中させたプログラムを評価した。
ザギトワが、前日の公式練習で3回転+3回転+3回転のトリプルジャンプを含む5本の3回転ジャンプを連続で決めていた様子を伝え、「18歳のメドベージェワは、ザギトワのようなプログラムを組まなかった。より叙情的なスケート選手であるメドベージェワは『アンナ・カレーニナ』の曲によるフリースケートで難易度の低い3回転+3回転のコンビネーションジャンプを選び、大きな加点を得られない前半に2つの難易度の高いジャンプを持ってきた」と、両選手のプログラム構成の違いが勝敗を分けたと分析した。
7つのジャンプを後半に入れてきたザギトワは、ジャンプの基礎点だけで、50.71点もあり、メドベージェワの46.73点を大きく上回っていた。
CNNは、「『アンナ・カレーニナ』の演技のあと、韓国の観客たちはメドベージェワに向けて多くのぬいぐるみ人形を愛情とともに降り注ぎ、彼女の目からは涙があふれた。彼女は若き同僚と感動の抱擁を交わした」と報じる記事の中で、会場に詰め掛けたファンの声も紹介していた。
「ロシア人ファンの一人は、ザギトワを強く擁護し、『我々は、メドベージェワのことは大好きだが、ザギトワはもっと強かった』と語った。別のファンは、ロシア選手の1位、2位について、『金メダル、銀メダル、どちらがとっても構わない!』と言った。彼らは大きな度量を持って競技を見ていた」とまとめていた。ザギトワの金メダルに対する疑念の議論の最終結論は、こういうことなのかもしれない。
ヤフーコメント
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000*****
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流石に前半に一本もジャンプを跳ばないのはバランスに欠けるし、全部のジャンプに手を上げるのも正直またかという感じで美しくない。
彼女たちは悪くない。採点方式に問題がある。 -
kuw*****
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キムヨナがいたときより、ジヤッジはマシになったと思う。
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his*****
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ルールに則った戦略の差。ブーイングする意味が分かりません。
どちらの選手も素晴らしい演技でした。 -
nan*****
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う~ん 気持ちは分るけど ザギトワ選手は責められない
責めるなら そう言う採点方法を作った人達の方だよ。それに 体力の消耗が著しい後半にジャンプを多くするのは
選手に取ってもリスキーで下手をしたら 全てを台無しにしかねない要素が有って 誰でも出来る芸当じゃ無いと
思うけどね。 -
kou*****
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私もザギトワの演技に疑問を感じるけれども、ルールにのっとった正当な勝者にブーイングはすべきではないと思う。彼女は全力で戦った結果なのだから。
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wat*****
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今回はどちらが金メダルだろうといいけど、今後は前半に最低2つはジャンプを入れないといけないなどのルールを作って欲しいな。演技と競技の両方の性質を持つフィギアスケートで、得点重視の戦法を取ってほしくない。
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ypf*****
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心情的にはメドベージュワに勝って欲しかったけど、ジャンプはちょっと重い本調子ではない感じだったし仕方ないかな。でも演技自体はいつもより心に響いた感じ。ザギトワは勢いあったしあのジャンプはさすが。失敗しても冷静にリカバリーしたりメンタルの強さもすごい。両選手とも本当に頑張ったし、いいもの見せてくれてありがとう。
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bel*****
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もうこんな抗議があるならAIに採点にしたらいいじゃん。
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exo*****
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ザキトワは美しく軽やか。
メドベージェワの演技は繊細かつ細やかで胸を打たれた。怪我や自国のオリンピック参加のことやら、様々な困難に打ち勝って五輪の舞台にたった彼女に金メダルをとらせてあげたかった。ブーイングはしませんけど。
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彼女はポーランドから来た留学生
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普通に仕方ないと思う。
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kokoko55
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浅田真央とキム・ヨナの時のバンクーバー五輪ほどには今回のロシア人対決の結果に違和感はないけどね。
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余白飛行
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そのルールは選手が決めたものではないので、ザギトワ選手を非難するのはちょっと違う気がする。15歳と言えばまだ少女。全体的な芸術性よりも、「後半にジャンプを詰め込んだほうが得」と考えても不思議じゃないと思うなぁ。
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vig*****
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個人的にはメドベージェワ推しだけど、名女優を演じたメドベージェワと名バレリーナを演じたザギトワ。どちらも圧巻でした。良いものを魅せてもらい感謝です。
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laf*****
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テレビではブーイング聞こえなかったような、、、
どうあれこの二人に圧倒されました。
バンクーバーの時のアレレベルならわかりますが。
今回の最終グループの皆さん素晴らしかったよ。 -
hiy*****
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ザギトワ選手はルールを踏まえて、女子には難しい構成をやり遂げたのですからブーイングはおかしいですし、残念な観客ですね。
後半にジャンプを固めた構成、少し無理はありましたが曲の盛り上がりにはまっていて、違和感があり過ぎることはありませんでした。
何よりあの構成、しかもはじめのジャンプのリカバリーを冷静に入れたザギトワ選手は素晴らしかったです。
メドベ選手も素晴らしかったですが、今日はちょっとジャンプが重い気がしましたし、ジャンプ前のかが見込みがいつも気になります。
(浅田さんはかが見込みだと言われ続けましたがメドベ選手は言われないですね。)
両選手ともに素晴らしかったですし、ルールに乗っ取った採点ですからブーイングは必要ないですね。 -
kan*****
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ザギは与えられた要素をきちんとこなした。リカバリーも見事で、ルッツループをリカバリーで完璧に出来るなんてすごいな思った。ザギもメドベも自分的にはどちらも心に響きはしないが、技術面では他を圧倒しているのでどちらが勝ってももんくはない。ただ後半にジャンプを固め、跳びきったザギが優勝するは同然だろう。バレリーナのように可憐だったなぁ。
来シーズンはルール改正をして後半にジャンプ固めが出来ないよう何とかして欲しいです!若い選手ばかりが有利になってしまいますよ。アシュリーが言いたいこともよくわかります! -
mir*****
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みんな同じルールの中で戦ってる。
アスリートとして間違ったことはしていない。
不満があるなら他の選手も後半にジャンプを集めればいいじゃん。 -
adgjm*****
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前回と言い、今回と言い、女子の採点にはいつも難癖がつく。
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mt ****
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フィギアスケートはショーではない。スポーツだから。ザギトワは今のルールに則ったプログラム構成を組んで、メドベを上回った。ルールで後半は基礎点が1.1倍になるんだから当然、ジャンプを後半に持っていったほうが有利になる。これを踏まえて構成を組むのは当たり前じゃん。ブーイングって誰に対してしてんの?まさかザギトワ?そうだとしたらお門違いもいいとこだわ。
女子シングルでは誰よりも難しい3Lz3Loを飛んで、その他のジャンプやスピンに関しても何らかの動作を加えて入る。これってめちゃくちゃ難しいことだから。Lz、Fだってエッジの飛びわけも完璧だし二回飛べることも大きい。
繋ぎも満載だし、でも音ハメやスケーティングだって雑じゃない。ブラックスワン、ドンキホーテどちらも技術、芸術を兼ね備えた美しいプログラムだと思うよ。文句なしの金メダリストでしょ。 -
トランプーチン
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四年に一度の運。少女たちの成長にドンピシャはまったザキ。
トリノに出られたら真央もこんなになってたかな。女子の若年選手は本当に運が強く働くね。
ソース:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180223-00000002-wordleafs-spo
採点表
メダル授与式